morgenrotの山と花の創作版画

第21回
(2007/04/12更新)

個展案内表

2007年4月27日(金)〜5月8日(火)、長野県松本市でmorgenrotの個展が開催されます。

版画の販売も行いますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄り下さい。

<5月末日 追記>

おかげさまで、個展は無事に終了しました。
どうもありがとうございました!




自分で撮った写真をもとに下絵をおこし、彫りから刷りまで一人でやる、創作版画です(実物はハガキ大)

(c)2009 morgenrot 全ての版画・テキストの無断複製・転載は固くお断りしています

<新作> 仙丈岳(2005年10月制作)
仙丈岳

諏訪湖から杖突峠を抜けて高遠に向かう。
この杖突峠の奥に「守屋山」という見晴らしのいい山があるというので、G.Wに上ってみたのだ。
絶景だった。

東の浅間山、八ヶ岳から始まり、南アルプス、木曽駒ヶ岳、北アルプスは乗鞍岳から白馬岳まで顔を出している。
話によると百名山が32座見えるといい、一説では36座見えるともある。
まあ百名山はどうでもいいが、360度、思い出深い山、未練を残した山が豪勢に並んでいるのは圧巻だ。

その中にまだ深々と雪を冠った山が堂々と横たわっている。山梨側を歩いていると、甲斐駒ケ岳や北岳に隠されて姿を見せぬ「仙丈岳」である。
夏には豊富な水流とそれに育まれた数々の高山植物で、女性的な山と見られているが、どうして筋肉隆々としてたくましい。

しばし仙丈に見惚れていると、「シャッター押してもらえませんか」の声。
振り返ると、私と同型のカメラを持った若者が立っている。
それがなんと知り合いの人間とそっくりで、思わず「やあG君」と喉から出かかってしまった。控えめな態度もG君そのままだ。

またしばし、G君のそっっくりさんと仙丈岳や南・中央・北アルプス談義に花を咲かせ、缶ビール2本を空にし、展望の山を辞したのだった。




<新作> コイワカガミ(2006年2月制作)
コイワカガミ

コイワカガミは高山植物として別に珍しいものではない。山が盆休みの人々であふれるまでの間、登山道の林縁や岩陰でよく見かける花である。

丸い葉に光沢があって、鏡のように見えるところから名付けられたという。鏡といってもガラスに錫を張った今の鏡ではなく、古の銅鏡といったところか。

そんなコイワカガミでも、場所と時期によっては、印象深いものがある。

9月も終わり近く、明日は帰京するという日に、八ヶ岳・天狗岳に唐沢鉱泉から登ったときのこと。
小型の台風の接近で風は強く、ガスと小雨で視界はよくなかった。第二見晴を過ぎて岩場にさしかかったとき、岩陰に赤い花がかすかに見えたのだった。

強風にも雨にもめげず、秋まで咲き残ったコイワカガミであった。その一輪は実にけなげで美しかった。

また、春、レンゲツツジが満開の南アルプス前衛・甘利山に登ったときの出会いも忘れがたい。さらに進んで千頭星山の笹原を過ぎ、大馴鹿峠近くまで来ると足元が切れ落ちて、鳳凰三山の苺平への道が細々と続いている。

その足下一面、コイワカガミが咲いているのだ。
春まだ浅い地蔵岳のオベリスクをバックに咲き乱れるコイワカガミも、新鮮で愛しいものだった。


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morgenrot=モルゲンロートとは・・・
山用語では特に、雪山が朝日をあびて朱色に染まることを、こういうようです。
登山が趣味なので、そこから
ペンネームをとりました。

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