morgenrotの山と花の創作版画

第3回
(2003/10/31更新)

個展案内表

2007年4月27日(金)〜5月8日(火)、長野県松本市でmorgenrotの個展が開催されます。

版画の販売も行いますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄り下さい。

<5月末日 追記>

おかげさまで、個展は無事に終了しました。
どうもありがとうございました!




自分で撮った写真をもとに下絵をおこし、彫りから刷りまで一人でやる、創作版画です(実物はハガキ大)


(c)2009 morgenrot 全ての版画・テキストの無断複製・転載は固くお断りしています



天狗岳(八ヶ岳) <新作>  天狗岳(八ヶ岳)(2003年10月制作)

子供達がまだ幼かった春の一日、八ヶ岳の稲子湯からしらびそ小屋まで歩いたことがある。

次第に深くなる雪溜まりに子供達は嬉々として戯れ、ミドリ池では餌場に降りてくるリスに歓声をあげていた。しかし私は、池と木立ちの向こうに白壁のように立ちはだかった天狗岳(東天狗)に心を奪われていた。

天狗岳は遠景もいい。

晩秋、蓼科を通りすぎて杖突峠に向かうとき、振り返ると、5合目あたりまで白くなった八ヶ岳が南北に長々と横たわっていた。
その中心に天狗岳が、北八ヶ岳の優しさと南八ヶ岳の荒々しさを合わせ持って、すっくと空に伸びている。
思わず車を停めてスケッチしていると、近くの農家のおばあさんが、「夕べはえらい雪だったから」とつぶやきながら通り過ぎた。





チロリアンランプ チロリアンランプ(2003年7月制作)

今年5月、八ヶ岳の何でもない稜線で一歩踏み出した時、コツンと膝が岩に当たった。頂上でビールを飲み、下りにかかるとその膝が痛みだしたが、「また痛風が始まったかな」程度で我慢した。

が、翌日には歩けなくなり、MRI検査を受けると半月板が見事に割れていて、6月に手術をすることになった。

入院中、病院の通用口に置かれていたのがチロリアン・ランプ。
我が家でも2年前から育てているが、その何ともいえずユーモラスで可愛い花は、点滴以上に傷を癒してくれた。

退院後、さっそく感謝の気持ちを込めて制作する。

(この花は元々「アブチロン・メガポタミウム」というが、和名は「チロリアン・ランプ」の他に、「ウキツリボク」とも名付けられていて、その姿をなんともロマンチックに表してはいる。)





ゴゼンタチバナ ゴゼンタチバナ(2000年12月制作)

山道を歩いていると、だいたい出会う花がある。
ヤマハハコやソバナ、頂上の岩の周りではホソバツメクサやイワツメクサ、といった具合だ。

ゴゼンタチバナもそんな花の一つで、中部以北の山道では必ずと言っていいほど、この白い花が出迎えてくれる(じつは花弁に見えるのは総苞片で、花はその中心にいくつもある黄色い部分だ)。

秋、そのちっぽけな花が、信じられないくらい大きく赤い実をつける。

ある秋、北八ヶ岳の"坪庭"で、紅葉して赤い実をつけたゴゼンタチバナをスケッチしていた時のこと。 ツアー登山者を引き連れてやってきた、私と同年輩のガイドが、「それ、何の実ですか」と訊いてきた。
「夏には白い花の、"ゴゼンタチバナ"です」と私。

ガイド氏はツアー参加者を集め、声高々と、「これが、夏には白い花の"ゴゼンタチバナ"の実です」と説明していた。


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morgenrot=モルゲンロートとは・・・
山用語では特に、雪山が朝日をあびて朱色に染まることを、こういうようです。
登山が趣味なので、そこから
ペンネームをとりました。

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