morgenrotの山と花の創作版画

第13回
(2004/08/29更新)

個展案内表

2007年4月27日(金)〜5月8日(火)、長野県松本市でmorgenrotの個展が開催されます。

版画の販売も行いますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄り下さい。

<5月末日 追記>

おかげさまで、個展は無事に終了しました。
どうもありがとうございました!




自分で撮った写真をもとに下絵をおこし、彫りから刷りまで一人でやる、創作版画です(実物はハガキ大)


(c)2009 morgenrot 全ての版画・テキストの無断複製・転載は固くお断りしています

シコタンソウ(2003年1月制作)
シコタンソウ 西鎌尾根は強風が吹き荒れていた。
稜線を西に東にまたぐたびに風向きも変わり、強さも違ってくる。
目の前に大きく立ちはだかる槍ヶ岳は、残雪の筋模様を付けて青く霞んだままで、いっこうに近付いてこない。

三俣から双六までは、あたかもお花畑の散歩だった。
そんなのどかな山歩きが樅沢の登りから一変し、飛騨側からの強風にさらされて、うっかりすると千丈沢に飛ばされそうになる。

狭い稜線の岩の間には、這いつくばるようにしてシコタンソウが咲いている。
精いっぱい伸ばした5枚の花弁に散らばる赤い斑点が、雪と風の中でたくましく育つ東北の子供達の頬のようで、いかにも愛らしい。
色丹島で発見され、明治に入って特定、命名されたとか。その後100年に渡って亜種だ変種だの論議が続いている。
そんな面倒臭いことは先生方に任せ、強風に頑張る可憐な花にまずは乾杯。



<新作> 尾瀬ケ原(2004年6月制作)
尾瀬ケ原 5月中旬、まだ暗いうちに尾瀬を目指す。

鳩待峠を出るころ、東の空が明るくなってきた。
川上川に沿って下る木道の両側にはまだ残雪が深く、ミズバショウの苞は固く口を結んだままだ。

暗い木立の間をいくつか過ぎる。と、まさに「パッと」という形容そのままに、尾瀬ケ原が目の前に広がった。
夜明け前の草原は朝もやの中に沈み、白い木道だけが、どこまでも伸びていく。
尾瀬ケ原が一番静かで美しいひとときだ。

湿原のそこここにはミズバショウが開き、リュウキンカが黄色いアクセントを添えている。
やがて朝日が昇り、湿原がその光の中に浮かんでくると、静かな尾瀬ケ原にまた喧騒に満ちた一日が始まる。

(c)2009 morgenrot 全ての版画・テキストの無断複製・転載は固くお断りしています

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morgenrot=モルゲンロートとは・・・
山用語では特に、雪山が朝日をあびて朱色に染まることを、こういうようです。
登山が趣味なので、そこから
ペンネームをとりました。

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