morgenrotの山と花の創作版画

第16回
(2005/03/04更新)

個展案内表

2007年4月27日(金)〜5月8日(火)、長野県松本市でmorgenrotの個展が開催されます。

版画の販売も行いますので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄り下さい。

<5月末日 追記>

おかげさまで、個展は無事に終了しました。
どうもありがとうございました!




自分で撮った写真をもとに下絵をおこし、彫りから刷りまで一人でやる、創作版画です(実物はハガキ大)

(c)2009 morgenrot 全ての版画・テキストの無断複製・転載は固くお断りしています

<新作> 槍沢(2005年2月制作)
槍沢 槍ヶ岳は好きな山のひとつで、結構何回も登っている。
だが、槍沢をつめるのはまれで、ほとんど下り専用のルートとして利用している。
何しろ長い。
鎖もはしごもなく、単調でただひたすら登るだけ、というのは私としてはどうも苦手である。

断っておくが、槍沢が味けのないルートというわけでは決してない。そもそも槍ヶ岳を開山した播隆上人も、ウェストンもガーランドもひたすら登った由緒ある道である。

岩と砂礫だけのようだが、東鎌尾根から見下ろすと、青い流れの両脇に豊かな緑が広がっている。そしてそこには、鮮やかな花の群落が展開しているのだ。
清流の上には夏の終わりまで雪渓がかかり、流れる汗を乾かしてくれる。
モレーン(氷河の堆積丘)の彼方に槍の穂先が見え始めると、ようやく北アルプスに来た、という感動がわいてくる。

大雨の翌朝、晴れた槍沢を降りたことがある。
両脇にそそり立つ東鎌尾根と横尾尾根に幾筋もの滝ができ、大量の水をU字谷にぶちまけ、豪快な眺めだった。膝まで水につかる渡歩を何度も強いられたが、今でも忘れられない槍沢の風景のひとつになっている。



カタクリ(2004年7月制作)
カタクリ カタクリなど珍しくもなんともない。
早春、登山口の湿ったところや北の斜面に、いくらでも咲いている。
乾物屋に行けば、サラサラした粉も売られている。
・・・こんなことは、子供の頃までだった。

花は盗掘が続いて希少品種となり、柵越しにしか見物できない。片栗粉というのは、今ではジャガイモのでんぷんで作っている。

4月初旬、奥多摩の御前山に登る。
大ブナ尾根の坂は結構な急登だ(北アルプスのブナ尾根といい、「ブナ」のつく尾根はなんできついのか)。
前日の雪がそれに輪をかける。
いいかげん嫌になった頃、木立ちの間に薄紫の小さな花が目についた。ーーーカタクリだった。
さらに登ると登山道の左右や、中には登山道の真ん中にまで、自由気ままにのびのびと咲いている。山の花は本来こうあるべきではないだろうか。
だが残念なことに、盗掘の跡もしっかりとあったのだが・・・

頂上に着くと、反対側の楽なコースから登るハイカーが多いせいか、カタクリの群生地には立派な柵と「立ち入り禁止」の立て札が立っていた。
帰りは再び、"放し飼い"のカタクリを楽しんだのは、もちろんのことである。

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morgenrot=モルゲンロートとは・・・
山用語では特に、雪山が朝日をあびて朱色に染まることを、こういうようです。
登山が趣味なので、そこから
ペンネームをとりました。

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